時間という幻想、幻想に生きる人間。
未来でなにかを経験したことはありますか?
あるいは未来に存在したことは?
未来で晩ご飯を食べたり仕事をしたり旅行したりしたことがある人 はいるのでしょうか?
未来が幻想に過ぎないというのは容易に理解できそうですね。 未来を経験したことがある人はいないでしょうし、「 未来はどこにあんだ?」 と聞かれて答えられる人もいないでしょう。
過去はどうでしょう。 過去に京都に行ったことがある人はいそうですね。 電車に乗ったり仕事をしたりしたことがある人も多そうです。 過去にサッカーをしたことがあって過去に彼女と付き合ったことも あって過去には腕を骨折したことがある。ちゃんと覚えてるし、 確かにそういう経験をした。間違いなくした。
では、その過去はどこに存在するのでしょう?
記憶ですね。あなたの記憶にしっかりと刻まれているし、 写真や日記を見たら過去を振り返ることができる。 自分のこれまでの行動を事細かに調べれば「自己分析」 ができます。自分がどんな人間か「わかり」ます。
もう一度質問。その過去は「どこに」あるのでしょう?
本当に記憶の中に存在するのでしょうか。 写真や日記が過去が存在することの証明となるのでしょうか。 過去の出来事を頭の中で再現しているのは「今」ですし、 写真や日記を見ているのも「今」です。 どうやったら過去にたどり着けるのでしょうか?
過去は存在しません。あるのは常に「今」です。 それを経験した時は「今」でした。 その経験を頭で再現しているのも「今」です。 これからも全ての出来事は「今」展開していくことでしょう。 私たちが「今」以外に存在したことはこれまで一度もありません。 これからも。
私たちは今にしか存在しないのに、 頭では常に過去や未来のことを考えています。 2時間前にやっちゃった仕事上のミスを頭の中で反芻して落ち込ん だり、来週のプレゼンを不安に思ってそわそわしたりします。 思考は今にじっとしてることがどうしても出来ないようです。 ネガティブな考えというのは私たちに刺激を与えてくれますからね 。 思考は私たちが苦しんでるのにも関わらずひたすら刺激を求めて突 っ走るみたいです。
もしあなたが「今」を取り戻したなら、 全ての苦しみから解放されます。 頭の中で壊れたテープレコーダーのように繰り返し発せられる声を ただ観察しそれが静まるのを待つなら、 条件づけられた思考パターンは消えていきます。 あっちにいったりこっちにいったりせず、 ただ呼吸に意識を集中させるならあなたは落ち着きを取り戻します 。ただ、思考はどうしてもそれを嫌がるようです。 思考は過去か未来の中でしか生き延びることができないようです。
頭に勝手に生まれては勝手に消えていく思考に自分を同一化するの をやめましょう。思考を自分と見なすことをやめるのです。 思考を今にある意識から切り離さない限り、 あなたは一生思考に振り回されます。 思考の奴隷になるのではなく、思考の主人になるのです。 道具として思考を使うのです。
最初のステップとして今すぐ出来ることはなにか? 呼吸に意識を向けることです。スマートフォンを閉じ、 何かを考えてる自分に気付き、 意識をそっと呼吸に向けてみてください。 ほんの数秒間でもやってみるとあなたはこれまでにない静けさに包 まれるはずです。